AIが自動生成した音楽(AI音楽・AI音楽生成・音楽生成AI)は、ここ数年で一気に普及し、動画制作・配信・ゲーム・企業PRなど、多くの領域で一般化した。一方で、利用者の多くが悩むのが 「商用利用して良いのか」「著作権はどうなるのか」「YouTubeのContent IDで引っかからないのか」 という問題である。
この記事では、AI音楽の商用利用の可否、著作権の仕組み、サービスごとの規約、YouTubeのContent IDリスクまで、2025年の最新状況に基づいて整理する。
AI音楽の商用利用や著作権を理解するうえで、実際のAI生成音源に触れておくことは判断の助けになる。現在、国内では生成音源を体系的に公開し、商用利用の可否や実際の品質を確認できるAI音楽ライブラリも登場している。
1500曲以上のAI生成音源を無料で視聴できるため、AI音楽がどの程度の完成度なのか、また商用利用を前提とした場合にどのような注意点があるのかを、本記事と合わせて把握しやすくなる。
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第1章 AI音楽は商用利用できるのか?結論と前提
AI音楽の商用利用について、誤解が最も多い部分を先に整理しておく。
- 結論:AI音楽の商用利用は「可能だが、サービスの規約に従う必要がある」
- 2-1 AIが自動生成した音楽には著作権が発生しない(原則)
- 2-2 例外:人間の創作性が加われば著作物扱いになる場合がある
- 2-3 著作権が「発生しないけれど商用利用できない」ケースに注意
- 3-1 Suno
- 3-2 Udio
- 3-3 Soundraw
- 3-4 その他のサービス
- 4-1 Content IDは“似ている音”を検出する
- 4-2 誤検出が多いジャンル
- 4-3 誤検出が起きるとどうなるか
- 5-1 無料プランは避ける
- 5-2 生成後に“人間の編集”を加える
- 5-3 企業案件は“権利が明確な音源”を選ぶ
- 6-1 向いている用途
- 6-2 不向きな用途
- 7-1 AI音楽は“平均的で安全な音”になりがち
- 7-2 人間の音楽は“不規則・意図的なズレ”が多い
- おすすめの記事
- Q1. AI音楽は商用利用できますか?
- Q2. AI生成の音楽に著作権はありますか?
- Q3. AI音楽をYouTubeで使うと収益化できますか?
- Q4. Content IDで誤検出された場合、違法ではないですか?
- Q5. 企業案件でAI音楽を使っても大丈夫?
- Q6. AI音楽は“二次配布”できますか?
- Q7. AI音楽と既存曲が似ていたら違法になりますか?
- Q8. AI音楽は動画編集アプリに読み込んで編集しても問題ない?
- Q9. AI音楽と人間の作曲は、商用利用の扱いに違いがありますか?
- Q10. 一番安全なAI音楽の使い方は?
結論:AI音楽の商用利用は「可能だが、サービスの規約に従う必要がある」
AIが作った音楽そのものには、人間の創作性が認められないため、原則として 著作権は発生しない。
しかし、商用利用できるかどうかは「利用したAIサービス側の規約」が決定する。
商用利用が許可されるケース
- サービスの規約が商用利用OKと明記している
- 有料プランで商用利用権を付与している
- 利用者が著作権を保持すると規約に記載されている
商用利用できないケース
- 無料プランに商用制限がある
- サービスが音源の所有権を保持している
- 利用者に著作権が帰属しないと明記されている
- 生成物にサンプル音源の権利が残っている可能性がある
AI音楽は“自由に使える素材”ではなく、あくまでも「利用したサービスの規約」がすべてを決めるという前提が最重要となる。
第2章 AI音楽に著作権は発生するのか?
ここは非常に多くのユーザーが誤解している。
2-1 AIが自動生成した音楽には著作権が発生しない(原則)
著作権法は「創作したのが人間であること」を前提にしている。
そのため、AIが自動生成した音楽は 著作物としての保護対象外 となる。
つまり:
- AIが作った曲
- AIが生成したボーカル
- AIが決定したメロディやコード
これらには著作権が認められない。
2-2 例外:人間の創作性が加われば著作物扱いになる場合がある
例:
- AIで作った曲を大幅に編曲する
- コード進行・旋律を人間が調整する
- 歌詞を人間が書いた
- ミックス・マスタリングで個性を追加
こうした場合は 人間が関与した部分にのみ著作権が認められる。
2-3 著作権が「発生しないけれど商用利用できない」ケースに注意
AI音楽には著作権がなくても、
生成したサービスが「商用利用を禁止する権利」を持っている場合がある。
例:
- 無料プランは商用不可
- AI音源の著作隣接権を保持している
- 二次配布を制限している
つまり、「著作権がない=自由に使える」ではない。
第3章 主要AI音楽サービスの商用利用規約(Suno・Udio・Soundraw等)
商用利用で最もやってはいけないのが “規約を読まずに使うこと” である。
2025年時点の主要サービスを整理する。
3-1 Suno
- 無料プラン:商用利用不可の可能性が高い
- 有料プラン:商用利用が可能なプランが存在
- 著作権は利用者に付与されるが、学習データの透明性は限定的
結論:商用利用するなら有料プランが必須。
3-2 Udio
- 無料プラン:基本的に商用不可
- 有料プラン:商用利用が許可される
- 日本語歌詞は不自然な場合があるため企業用途は注意
結論:楽曲品質は高いが、権利面はプランに依存。
3-3 Soundraw
- 商用利用OK
- ライセンスの扱いが明確で企業利用と相性が良い
- ボーカル生成は弱いが、BGM用途には強い
結論:権利面を重視する企業・制作会社向け。
3-4 その他のサービス
- Mubert:商用利用可だがライセンス形態が複雑
- AIVA:クラシック系に強く商用利用可能
- Stable Audio:研究寄りで利用範囲が限定
サービスごとに商用利用可否が完全に異なるため、“曲単体”では判断できない。
判断基準はあくまでプラットフォームの規約である。
第4章 AI音楽とContent ID:なぜ誤検出が起きるのか
AI音楽の商用利用で最も危険なのが「YouTube Content IDの誤検出」である。
4-1 Content IDは“似ている音”を検出する
Content IDは、膨大な楽曲データベースと比較して類似性を判断する仕組みである。
AI音楽で問題が起こる理由:
- AI学習モデルが既存曲の特徴を抽出している
- ドラム・ベース・コード進行が偶然似る
- ミックスの周波数分布が既存曲と近い
- ボーカルの音節が似たパターンを生みやすい
これらが “偶然でも” 類似判定につながりやすい。
4-2 誤検出が多いジャンル
- シティポップ
- EDM
- ローファイ
- 80年代風ポップス
- J-POPバラード
- 昭和歌謡風
これらはテンプレートが強く、既存曲と構造が似やすい。
4-3 誤検出が起きるとどうなるか
- 収益が止まる
- 他社に収益が移動する
- 異議申し立てに時間がかかる
- チャンネルの信用が下がる場合もある
企業案件では絶対に避けたい。
第5章 AI音楽を安全に商用利用するための実務的ガイド
単に「商用利用が可能か」だけではなく、AI音楽を安全に扱うための実務的ポイントを整理する。
5-1 無料プランは避ける
無料プランは以下のリスクがある。
- 商用利用不可
- 権利がサービスに帰属する
- 音源が学習データに再利用される可能性
- 規約が急に変わる
商用利用するなら 必ず有料プラン を選ぶべきである。
5-2 生成後に“人間の編集”を加える
編集を加えることで、以下の効果がある。
- オリジナリティが強まり、Content IDの誤検出が減る
- 音質が安定し、動画との相性が良くなる
- 商用利用に耐えうる品質になる
編集例:
- EQ調整
- リズムの再構築
- イントロを差し替える
- 効果音の追加
5-3 企業案件は“権利が明確な音源”を選ぶ
企業案件では以下の条件が求められる。
- 著作権クリア
- 商用利用OK
- Content ID登録がない
- 規約が明確
- ライセンス証明書が取得可能
AI音楽の便利さとリスクのバランスを理解し、用途に応じて使い分ける必要がある。
第6章 AI音楽の商用利用が向いている用途・向かない用途
6-1 向いている用途
- SNS短尺動画(TikTok・Reels)
- YouTubeの軽いVlog
- 個人の作品制作
- ゲーム開発(特にインディー)
- 店舗BGM
- 社内イベント
→ リスク許容度が高く、柔軟な運用が可能。
6-2 不向きな用途
- 大手企業のテレビCM
- 長期配信される企業動画
- 国際配信作品
- 法的リスクを避けたい案件
- AI音楽の透明性が求められる領域
→ AI音楽は急速に進歩したが、依然として“権利の不透明性”が残る。
第7章 AI音楽と人間の音楽制作の違い
商用利用の判断には、AI音楽の構造的な特徴を理解することが役に立つ。
7-1 AI音楽は“平均的で安全な音”になりがち
AIモデルは大量データを元に平均化したパターンを生成するため、
- 旋律がテンプレ化しやすい
- 既存曲と構造が似てしまう
- ミックスが均質化する
この特性が Content ID誤検出の根本原因 になっている。
7-2 人間の音楽は“不規則・意図的なズレ”が多い
特に日本の伝統音楽や昭和レトロ音楽ではこの特徴が顕著である。
- 拍子が揺れる
- メロディが意図的に外れる
- リズムがずれる
- 感情でテンポが変動する
AIはこうした“非線形な揺らぎ”が最も苦手であり、人間独自の創造性が残る領域でもある。
第8章 総まとめ:AI音楽は商用利用できるが、条件とリスクを理解する必要がある
AI音楽は商用利用できる場合が多いが、以下の事実を必ず理解しておきたい。
- 商用利用の可否は サービス規約が全て
- AI音楽自体には著作権がないが、利用規約で制限される
- Content IDの誤検出は実際に起こる
- 無料プランは商用利用できないことが多い
- 企業案件では権利クリアな音源が必要
- 編集を加えることで安全性と品質が上がる
AI音楽は便利である一方、適切な理解がなければトラブルの原因にもなる。
正しい情報を把握し、用途に応じて最適な方法で利用していくことが大切である。
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Q & A
Q1. AI音楽は商用利用できますか?
A. できます。ただし利用したサービスの規約に従う必要があります。
AI音楽自体には著作権が発生しませんが、Suno・Udioなどのサービスは無料プランに商用制限がある場合があります。
必ず「商用利用を許可しているプラン」で生成してください。
Q2. AI生成の音楽に著作権はありますか?
A. 原則ありません。
著作権法上、著作権が発生するのは「人間による創作」に限られます。
AIが自動生成した音楽は著作物ではないため、著作権が存在しません。
ただし、人間が編曲・編集を行った部分には著作権が生じる可能性があります。
Q3. AI音楽をYouTubeで使うと収益化できますか?
A. できますが、Content IDの“誤検出”には注意が必要です。
AI音楽は既存曲と偶然似たパターンを作りやすく、Content IDが誤検出することがあります。
誤検出されると、収益が停止したり他人に分配されることがあります。
Q4. Content IDで誤検出された場合、違法ではないですか?
A. 違法ではありません。誤検出はYouTube側の問題です。
AI音楽が既存曲に“ほんの一部似た”だけでも検出されることがあります。
異議申し立てで解決できますが、時間がかかる点は注意が必要です。
Q5. 企業案件でAI音楽を使っても大丈夫?
A. 有料プランのAI音源+人間による編集が最も安全です。
企業用途では、著作権クリア・トラブル回避が求められます。
無料プランは絶対に避け、権利が明確な音源を選び、必要に応じて編集を加えるべきです。
Q6. AI音楽は“二次配布”できますか?
A. ほぼすべてのサービスで禁止されています。
AI音源は商用利用OKであっても「二次配布」は規約違反になる場合がほとんどです。
自分の制作物に組み込む用途のみ想定されています。
Q7. AI音楽と既存曲が似ていたら違法になりますか?
A. 偶然似るだけでは違法になりませんが、意図的な模倣は危険です。
AIは膨大なデータを学習するため、既存曲と似てしまうことはありますが、それ自体は違法ではありません。
ただし、明らかに特定の曲を模倣した場合はリスクがあります。
Q8. AI音楽は動画編集アプリに読み込んで編集しても問題ない?
A. 全く問題ありません。むしろ編集した方が安全です。
- EQ・コンプ調整
- リバーブ追加
- 構成変更
編集が加わることでオリジナリティが高まり、誤検出のリスクが下がります。
Q9. AI音楽と人間の作曲は、商用利用の扱いに違いがありますか?
A. あります。AI音楽は著作権が発生しないため扱いが軽い一方、規約とContent IDの問題がつきまといます。
人間の作曲は著作権と契約条件で明確に管理できますが、AI音楽は“規約依存”であり透明性が低い部分もあります。
Q10. 一番安全なAI音楽の使い方は?
A. 有料プランで生成 → 編集 → 自分の制作物に組み込む、が最も安全です。
さらに、企業案件や長期配信では「著作権クリアな音源(AIではなくオリジナル)」を併用するのが推奨されます。


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